仕事をがんばっているのに、陰で「あの人は使えない」と言われているのを聞いてしまった。
彼氏のために手料理を振る舞ったら「味は……うん……」と言われてしょんぼり。
はたまた、自分のことを言われているわけではないのに「最近の若い女はわがまますぎる」と言われて落ち込む。
傷つきやすい人は仕事においても恋愛においても、どんなに些細なことでも真正面から他者の感情を受け止めてしまい、自分を責めてしまいます。
そんな傷つきやすい性格を克服したいと思う人もいることでしょう。
ですが、傷つきやすい性格を克服する必要は100%ないのです。
自分の性格を変えるのは至難の業

自分の性格を変えるのは非常に困難です。
性格というのは遺伝的要因、または環境要因によって獲得するものの2種類あります。
自分のパーソナルタイプ(おっとりorテキパキ)や協調性、外交的か内向的かといった性格全般は、30~40%は遺伝的要因の影響を受けて決まります。
遺伝的要因によって決定された性格は変えることができません。
逆に、環境要因によって得た性格は変えることができます。
ですが、性格の30~40%が遺伝的要因によって占められているので、例えば内向的だった人が180度人が変わったように外交的になるということはありえません。
ですので、傷つきやすい性格を完全に変えることはできないのです。
自分の性格を変えるということ自体、強い意志や継続する力がないと克服は難しいでしょう。
人は、具体的なイメージやメリットやモチベーションがあれば継続はできます。
絵を描くのが好きで、将来はイラストレーターになりたいと思っていれば継続してイラストを描き続け、夢を実現できるでしょう。
イラストレーターになれば、最初は小遣い程度でも将来に収益や知名度の向上が狙えます。
ですが、傷つきやすい性格を克服して、その先にどんなメリットがあるのでしょう?
多くの方は「生きやすくなる」と考えるかもしれませんが、傷つきやすい性格を抱えても生きやすい生き方をすることはできます。
受けるメリットが少ないのに、それに向けて大量の時間と労力をつぎ込むのは大変非効率的です。
傷つきやすい性格のまま生きやすくなるには

「傷つきやすい性格を克服したい」と思う最大の理由として「生きにくいから」が挙げられます。
些細なことで傷つけばそのぶん自分の精神が消耗し、疲れ果ててしまうのは事実です。
でも、傷つきやすい性格を克服して受けるメリットは、労力にみあっていません。
完全には変えられない、つまり成功しないことに向かってがんばり続けるくらいなら、もっと他のことにその努力をつぎ込んだほうが良いでしょう。
ただ、それでは生きやすくならないので、傷つきやすい性格のまま生きやすくなる手段をお伝えします。
それは「自分は傷つきやすい性格だと認める」ことです。
傷つきやすい性格を克服したいと思っている時点で、あなたは自分を否定しています。
自分に自分を否定されると、自己肯定感が薄まり、自分を大切にできません。
自分を大切にできない人は、周りの人に「私は雑に扱っていいですよ」と暗にメッセージを発しているので、周囲もあなたをぞんざいに扱います。
傷つきやすい人は、よく気づくという特徴があるので、周りからないがしろにされたことを察知してあなたはまた傷つきます。
このように、自分は傷つきやすい性格だと認めないと、負のループに陥ってしまうのです。
ですので、まずは自分の傷つきやすい性格を認めましょう。
仕事をがんばっているのに、陰で「あの人は使えない」と言われているのを聞いてしまったら、「私は今の言葉で傷ついた」と心の中で言ってみましょう。
冷静に自分の感情を見つめることで、自分の状況を知り、次にどのような行動を起こせばいいかがわかります。
使えないと悪口を言われてしまったなら、がんばる方向が間違っている可能性が高いので、正しい方向に修正すればいいのです。
正しい方向がわからないのであれば、それを素直に認めて、信頼できる人に相談してみても良いでしょう。
これがもし、「自分は傷つきやすい性格だと認めない」場合であれば、使えないと言われてショックを受け、自暴自棄になったり悪口を言った人を敵視したりするでしょう。
大切なのは、自分の傷つきやすい性格を克服するというより、自分の傷つきやすい性格を認めることなのです。
日本は鈍感な人で溢れている

そもそも、あなたはなぜ傷つきやすい性格を克服したいと思ったのでしょうか?
自分でそう決めたのなら、素晴らしいことです。
ですが、そうでないならちょっとだけ立ち止まってみましょう。
日本社会は約80%が鈍感な人で占められています。
マジョリティ(多数派)の声がマイノリティ(少数派)の意見より大きくなるのは当然のことです。
傷つきやすい性格を克服しないと生きやすくならないだとか、すぐ傷つくのやめなよと他者から言われたりだとかしてしまうのも仕方がないことです。
ただ、他者の意見を鵜呑みにして「傷つきやすい性格を克服しよう」と思うのは大変危険です。
それは自分の人生を生きる軸を、他者によって決めてしまっているからです。
自分の人生では自分が主役で、他者が介入してはならないものです。
自分の軸に他者が介入することを許すのは、例えるなら、自分が主役の舞台なのに「私のことは気にしないで、ストーリーも主役もキャストも全部みんなが決めていいよ、その通りにするよ」と言っているようなものです。
自分はなぜ傷つきやすい性格を克服したいのか? を自分の頭で考え、それに対してどうしたいのかを明確に決めれば、傷つきやすさを抱えたままでも生きやすくなるでしょう。